研究課題/領域番号 |
18K14038
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
村上 雄一朗 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50455432)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | リサイクル / アルミニウム / 電磁力 / 撹拌 |
研究実績の概要 |
本研究では,使用済みアルミニウムスクラップを展伸材へのリサイクルすることを想定している.スクラップに含まれる不純物元素を除去する方法として,液体状態から冷却する際に先に晶出する不純物の少ないα相アルミニウムを回収する方法において,機械的振動および電磁回転力を加えることによってα相アルミニウムの晶出量を増加させる手法と,電磁回転力による遠心力によってα相アルミニウムを分離する方法を同時に検討するものである.昨年度までに,機械的振動を加えることによってα相アルミニウムの晶出量が増加し,液相側に不純物元素が濃縮するという結果が得られている.このほか,電磁撹拌による流動によっても同様の傾向があることが示されている.一方で,電磁撹拌による分離については,ある程度α相アルミニウム粒子が壁面付近に分布する傾向が得られているものの,実用化に向けては課題がある状態であった. 昨年度の結果を受け,Si10.4%,Cu1.9%程度含むADC12ダイカスト用アルミニウムに対し,α相アルミニウム中に回転方向への電磁撹拌を付与しながら凝固させることにより,撹拌力がα相アルミニウムの量と分布状態に与える影響について調査を行った.その結果,一方向電磁撹拌を付与することによりα相アルミニウムの量が増加する傾向があることを確認した.また,撹拌条件のうち,α相アルミニウムの晶出量にあたえる因子を明確化した.さらに,撹拌方向を一定周期で反転させることによりα相アルミニウムの晶出量が増加する結果が得られた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本手法の主技術である振動・流動付与によるα相アルミニウム量の晶出量増加と,それによる不純物元素濃縮手法についての基礎技術としては確立されつつあり,流動の諸因子が与える影響が明確になった,また,本手法を元に特許出願を行った.一方で,分離回収については課題があり,新たに対策を講じる必要がある.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの実験結果を基に理論的考察を進める,そのために必要となるデータについて,必要があれば随時追加実験を行う,また,特許出願が完了したため,これまでに得られた結果を学会等で発表し広く議論を行う.実用化に向けてはα相アルミニウムの分離回収に関して検討を行う必要があり,電磁力を用いる方法以外にも広く検討を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は既に所有している装置を用いることにより実験を進めることが可能となったため,当初の予定に比べ使用額が少なくなった.次年度において測定機器等に用いる計画である.
|