白金等の貴金属を代わる安価で資源豊富な炭素材料が金属空気電池や燃料電池用の新規な電極触媒材料として、高い酸素還元特性を持つため注目されている。階層的多孔質炭素はその特有な構造から、最も有望である。本研究の目的はバイオマスセルロースを原料とし、新規な硝酸塩補助燃焼合成プロセスにより階層的多孔質炭素電極触媒を創製することである。具体的には、金属硝酸塩・有機燃料(尿素等)からなる燃焼合成原料をセルロース繊維に混合して脱酸素雰囲気下で加熱すると、急激な自己発熱反応が生じる。反応時に瞬時的に大量のガス・熱が発生し、セルロース繊維束を剥離・分解され、セルロース由来の炭素母材に数十nmから数百nmのメソ・マクロ孔を形成される。同時に、硝酸塩由来の金属酸化物を鋳型として炭素に均一的に分散し、高温下で熱処理して、酸洗浄で鋳型を除去することによって、数Aから十数nmのミクロ・メソ孔を形成される。よって、ミクロ・メソ・マクロ細孔を併せて持つ階層的多孔質炭素を合成できる。加えて、窒素異元素が含む尿素添加燃料を入れたため、得られた炭素に窒素ドープ特性を与え、酸素還元触媒特性の向上に繋がる。 前年度は硝酸マグネシウムと尿素を燃焼合成用添加剤として選定し、セルロースと混合してから、発熱反応燃焼プロセスを経て多孔質炭素を合成した。今年度はその反応メカニズム及び得られた炭素触媒の材料特性、酸素還元触媒特性を具体的に調査した。一方で、遷移金属硝酸塩と硝酸マグネシウムの混合硝酸塩を利用して、得られた炭素材料の特性に対する影響を調査した。
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