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2018 年度 実施状況報告書

非水素雰囲気下でのバイオマス資源の効率的脱酸素に向けた水素移行反応の積極的活用

研究課題

研究課題/領域番号 18K14050
研究機関信州大学

研究代表者

嶋田 五百里  信州大学, 学術研究院繊維学系, 講師 (40708187)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードバイオマス / 油脂 / 脱酸素 / 接触分解 / 水素移行反応
研究実績の概要

本研究では、石油精製技術の一つである流動接触分解(FCC)プロセスを用い、油脂を中心とするバイオマス資源から、石油代替燃料・化学品原料として用いることができる炭化水素の製造を目指している。バイオマスからの炭化水素製造においてはバイオマス中に含まれる酸素の効率的な除去が重要であるが、FCCプロセス内で進行する水素移行反応を活用することで、非水素雰囲気下での反応にもかかわらず炭素損失を抑制した水としての脱酸素化が期待できる。今年度(平成30年度)は、水素移行反応が寄与する脱酸素反応の反応機構の解明を目指し、水素供与体に重水素化試薬を用いた反応試験・生成物分析や、拡散反射赤外分光(DRIFTS)測定を用いた触媒表面の吸着種の観測に取り組んだ。
水素供与体に重水素化試薬を用いた反応試験では、キュリーポイントインジェクターを用いて極めて初期段階の反応生成物を分析し、主な脱酸素生成物としてH2Oに加えてHDOが生成することを確認した。この結果から、油脂の接触分解において水素移行反応が水としての脱酸素化に寄与していることを確認するとともに、水素供与体からの水素供与は生成する水1分子につき水素原子1つであることが示唆された。
DRIFTS測定では、水素供与体共存下と非共存下でのエステルの吸着スペクトルを観測し、水素供与体の共存によって吸着種が変化することを確かめた。特に、エステル及び脂肪酸からアルデヒドの生成に水素供与体が寄与している可能性が示された。
以上のように、今年度は水素移行反応が寄与する脱酸素反応の解析手法を確立するとともに、水素移行反応が脱酸素反応経路のどの部分にどのように影響するのかを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

油脂の接触分解において、キュリーポイントインジェクターを用いた生成物分析により、水素移行反応が寄与する脱酸素反応の解析手法を確立するとともに、水素移行反応が寄与することで非水素雰囲気下にもかかわらず炭素損失を抑制した水としての脱酸素化が可能であることを確認した。さらに、拡散反射赤外分光測定(DRIFTS)についても、水素供与体の共存による含酸素化合物の吸着状態の変化を観測することに成功した。以上を勘案し、本研究はおおむね順調に進められていると判断する。

今後の研究の推進方策

今年度に確立した反応解析手法を用いて、様々な反応条件や触媒種の違いが水素移行反応及び脱酸素反応に与える影響を調べる。また、含酸素化合物とオレフィンのどちらが優先して水素受容体として機能するのかを調査する。これにより、バイオマス原料の接触分解において、水素移行反応の促進による高付加価値炭化水素の増収が可能かどうかを明らかにする。
さらに、得られた反応試験の結果に基づいて、FCCプロセスにおける油脂の脱酸素反応の速度論モデルの構築に取り組む。異なる触媒上での反応モデルを比較することで、反応速度や選択性に影響を及ぼす触媒物性の抽出に取り組む。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] FCC触媒上での植物油の脱酸素反応2018

    • 著者名/発表者名
      富岡拓也, 平澤直樹, 松本拓也, 太田晴久, 鈴木健吾, 高塚透, 嶋田五百里
    • 学会等名
      化学工学会第50回秋季大会
  • [学会発表] 接触分解における水素移行反応を利用した植物油の脱酸素反応機構2018

    • 著者名/発表者名
      富岡拓也, 松本拓也, 太田晴久, 鈴木健吾, 高塚透, 嶋田五百里
    • 学会等名
      第48回石油・石油化学討論会
  • [備考] 嶋田研究室webページ

    • URL

      http://www.iorishimada-lab.com/index.html

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公開日: 2019-12-27  

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