ゼオライト合成の先に添加される有機構造規定剤(OSDA)は、単独で用いた場合においてもゼオライト合成における重要な役割を担っているが、複数のOSDAや無機カチオン、アニオンと組み合わせて用いることで様々な新しい効果が期待できる。これを本研究では「アンサンブルテンプレーティング」と名付け、種々の反応系において検討を重ねてきた。これにより、以下の成果を挙げている。1)これまで複雑なOSDAが必須であったCON型ゼオライトをシンプルなOSDAを用いて効率的に合成。2)協奏的相互作用の利用によるゼオライトの超高耐久化。3)ゼオライトの核生成に関する知見の獲得。4)キラルゼオライトとしての応用が期待される構造について低毒性・低腐食性原料を用いた合成。 これらの研究には、基礎研究として意義深いメカニズム解明などの研究から、材料の性能を飛躍的に向上させる手法開発といった実用化が期待される技術まで幅広く達成できたと考えている。 これまでに様々な系についてアンサンブルテンプレーティングを実証できており、本年度はさらなる適用範囲の拡大、及び形態制御などへの応用について検討を行った。特に、フッ化物を用いたシリカライト-1の粒径制御に成功した。フッ化物を用いたゼオライト合成は、欠陥が少なく疎水的なゼオライトが得られることから期待されているが、一方で粒径制御に課題があったが、アンサンブルテンプレーティングと多段階制御により粒径制御を達成した。
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