研究課題
本年度は主に、材料認識抗体とナノ材料間のドッキングシミュレーション時における拘束距離の検討と自己組織化材料認識ペプチドの抗体相補性決定領域への移植に取り組んだ。・材料認識抗体とナノ材料間のドッキングシミュレーション時における拘束距離の検討昨年度までに、材料認識抗体の発現量と安定性を克服するための計算機支援によるタンパク質設計に取り組んできた。そのなかで、計算機により界面設計されたタンパク質のうち90%以上が結合機能を示さないタンパク質であり、これら結合モデルにはアラニンやグリシンなど側鎖構造の小さなアミノ酸が結合界面に多く存在することが分かった。そこで本年度は、ドッキングシミュレーション時に材料-タンパク質間の束縛距離を1から20オングストロームの範囲で変化させることで、水素結合や静電的相互作用を結合界面に設計できる最適な束縛距離を探索することに焦点を当てて研究を実施した。拘束距離を検討した結果、10オングストローム程度の拘束距離でのシミュレーションで結合エネルギーの低い良いモデルが生成できることが分かった。この結果は、計算機による材料認識抗体設計において有効な設定指針となる。・ 自己組織化材料認識ペプチドの抗体相補性決定領域への移植昨年度ファージ提示法により取得したペプチド分子をラクダ抗体重鎖可変領域の相補性決定領域へ移植し、大腸菌での発現を試みた。その結果、相補性決定領域3 (CDR3)へ移植した抗体で可溶性画分への発現が確認できた。本抗体はペプチド単独と比べて結合機能の低下が見られたが、抗体へのペプチド移植により結合機能を付与することができた。
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Biochemical Engineering Journal
巻: 160 ページ: 107636~107636
10.1016/j.bej.2020.107636