研究課題/領域番号 |
18K14061
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
蟹江 慧 名古屋大学, 創薬科学研究科, 助教 (80636407)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ペプチド / 細胞接着 / 合成高分子 / 生体高分子 / 人工血管 / バイオマテリアル |
研究実績の概要 |
本研究は、細胞の接着・増殖をコントロール(細胞選択性)する、人工血管に適した材料を効率的に開発する。医療材料表面で表したい細胞選択性は、土台である高分子材料と機能性分子(ペプチド)の組合せによる総合的な効果で決まると考えられる。しかし、高分子材料やペプチドは種類や配合比だけでも無数に考えられ、総当たりで設計していては非効率である。本研究では、高分子材料とペプチドの物性値計測をし、情報処理解析技術を用いることで、目的のハイブリッド人工血管材料を効率的に創出することを目標とする。 H30年度の目標として、『1.細胞選択的ペプチド配列の網羅的スクリーニングとルール化』と『2.合成・生体高分子材料へのペプチド修飾方法の確立と物性値の計測とルール化』の2点を挙げていた。 1つ目のスクリーニングに関しては、ガラススライド上にペプチド配列が合成されたペプチドマイクロアレイ(PEPperCHIP)での細胞選択的接着ペプチドスクリーニングの遂行を試みたが、細胞アッセイ系には適しておらず、従来のペプチドアレイにて新規細胞選択的ペプチドの探索の開始をした。血管構造を構築する細胞だけに限らず、血管組織構築に必要な抗炎症作用を持つペプチドの探索にも着手を試みた。 2つ目のペプチド修飾方法の確立に関しては、主にチロシンを使用した修飾方法、脱水縮合反応の2点にトライした。特にチロシンを使用した修飾に関しては血管を構築する細胞において効果が見られた。基盤材料には、PCL、PTFE、PDMSなどの素材を利用して評価した。さらにペプチド修飾に加え、ペプチドと基板材料の間のリンカーの検証、N末端のアセチル化の検討など、詳細に検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H30年度の目標として、『1.細胞選択的ペプチド配列の網羅的スクリーニングとルール化』と『2.合成・生体高分子材料へのペプチド修飾方法の確立と物性値の計測とルール化』の2点を挙げていた。 1つ目のスクリーニングに関しては、ガラススライド上にペプチド配列が合成されたペプチドマイクロアレイ(PEPperCHIP)での細胞選択的接着ペプチドスクリーニングの遂行を試みたが、細胞アッセイ系には適しておらず、従来のペプチドアレイにて新規細胞選択的ペプチドの探索の開始をした。血管構造を構築する細胞だけに限らず、血管組織構築に必要な抗炎症作用を持つペプチドの探索にも着手を試みた。その結果、10種類程度の抗炎症ペプチドの取得に成功した。 2つ目のペプチド修飾方法の確立に関しては、主にチロシンを使用した修飾方法、脱水縮合反応の2点にトライした。特にチロシンを使用した修飾に関しては血管を構築する細胞において効果が見られた。基盤材料には、PCL、PTFE、PDMSなどの素材を利用して評価した。さらにペプチド修飾に加え、ペプチドと基板材料の間のリンカーの検証、N末端のアセチル化の検討など、詳細に検証を行った。その結果、アセチル化の効果が細胞接着に強く影響していることが判明した。 更に、細胞選択的ペプチドと高分子材料のハイブリッド材料のプレ検証として、歯科治療用材料の作製、vivo検証も行い、その有効性の検証も行った。この検証は、『ペプチド-高分子』ハイブリッド人工血管材料を作製する上での参考になると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
H31年度の目標として、『『ペプチド-高分子』ハイブリッド人工血管材料のin vitro試験』を遂行する予定である。 基板材料には、PCL、PTFE、CMCを用い、さらにその物性(表面接触角、レオロジーなど)の物性値測定を予定している。また、ペプチド修飾法に関しては、H30年度に行った内容に加え、プラズマ処理による表面改変も視野に入れて研究を遂行する予定である。
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