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2019 年度 実施状況報告書

組織損傷時の生体内環境に着想を得たエクソソーム生産用の幹細胞培養環境設計

研究課題

研究課題/領域番号 18K14066
研究機関佐世保工業高等専門学校

研究代表者

森山 幸祐  佐世保工業高等専門学校, 物質工学科, 助教 (30814313)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード高分子ハイドロゲル / 酵素触媒反応 / 細胞包括 / 間葉系幹細胞
研究実績の概要

本研究では培養環境が間葉系幹細胞(MSC)の分泌する小胞体(エクソソーム)の機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。物理的及び化学的観点から培養基材を設計し、その環境内でMSC由来エクソソームの生産を試みる。具体的には高分子ハイドロゲルを細胞培養基材として選択し、その弾性率や細胞機能の向上が期待できるタンパク質の固定化量を制御することで、培養環境の構築を目指す。このようなハイドロゲルを作製する上で重要な点は高分子水溶液のゲル化時間である。これまでに我々は細胞に穏和な条件下において高分子ハイドロゲルを作製する手法を開発しているが、当該手法はゲル化時間が比較的遅く、ゲル内での細胞密度が不均一になるという課題があった。
平成30年度はこの課題を解決するため、ゲル化プロセスにおける添加剤の効果を検討した。その結果、系中に還元剤を添加することで、高分子水溶液のゲル化時間を劇的に短縮することに成功した。しかしながら使用する還元剤が細胞毒性を示すという課題があった。令和元年度はこの課題を解決するため、細胞に対する安全性の高い添加剤を利用したゲルの作製を試みた。具体的には生体分子である塩基性アミノ酸を利用することで、先述した還元剤と同程度、ゲル化時間を短縮することに成功しており、細胞包括材料作製法として有用なゲル化法を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成30年度は高分子水溶液のゲル形成時間に着目し、従来の系に還元剤を添加することで、劇的に高分子水溶液のゲル化時間を短縮することに成功した。令和元年度は当該ゲル形成反応が細胞に対し、より温和な条件下で進行するように改良することで、細胞の三次元培養系に利用可能なゲル化システムを構築した。しかしながらゲル内での細胞の長期培養は行えていない。
以上、研究計画に沿って研究を進めているが、当初の計画ではゲル内での長期的な細胞培養と分泌物の解析を行う予定にしており、進捗がやや遅れている状況である。

今後の研究の推進方策

令和元年度には、細胞包括に適したゲル化システムを構築することが出来た。令和2年度は、間葉系幹細胞をゲル内部に包括し、長期的な培養を試みる。その際、ゲルの弾性率やタンパク質固定化量を変化させることで、それらの因子が細胞の生存率や分泌物に及ぼす影響を評価する予定である。

次年度使用額が生じた理由

令和元年度は新たに提案したゲル作製法の基礎的な条件検討を行った。その後、細胞の包括培養を実施する予定であったが、培養基材の作製に用いる試薬が当該年度内に入手できなかったため、これに関連した消耗品の支出が不要となった。そこで研究費は培養基材の作製や細胞培養関連の各種試薬・消耗品に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 酵素仲介型ゲル化プロセスの高効率化に向けた添加剤の効果2020

    • 著者名/発表者名
      森山 幸祐、山口 恭平、若林 里衣、後藤 雅宏、神谷 典穂
    • 学会等名
      化学工学会第85年会、関西大学

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公開日: 2021-01-27  

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