研究課題/領域番号 |
18K14086
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研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
研究代表者 |
NGUYEN THANHSON 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 助教 (00797235)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ガスタービン / 永続 / 自己修復 / 耐環境 / 積相対 |
研究実績の概要 |
1)単純な熱処理によりYb2SiO5 → Yb2Si2O7 → Yb2SiO5循環プロセスを実証した。最初は、1250℃で複合体におけるYb2SiO5と分散されたSiCを反応させて、Yb2Si2O7になることを行った。反応に関する体積膨張を利用して複合体の亀裂を復習した。次に、Yb2SiO5の再生を目的として、最初は800℃(1時間、水蒸気中)で分解させた。室温に戻した後に組成変化を分析方法(X線回析、EDS)による測定した。結果としては、20%Yb2Si2O7がYb2SiO5に復元したことを確認した。この現象のメカニズムを明らかにした。この成果について、今年の1月に、アメリカのフロリダー州で米国セラミックス学会のICACC2019国際会議で報告した。
2)SiCナノ粒子の様々な形状(球状や片状など)を組み合わせ複合体に分散させることで、複合体の強度と自己修復の速度を改善した。具体的に、50%SiCナノ粒子と50%SiCナノウィスカーを組み合わせた場合、強度が2倍に向上し、修復速度が十分に改善できた。上述の国際会議から招待されてこの結果も報告した。
この研究に関するこれまでの成果をまとめて作成。今年、この論文がセラミックス分野の有名な雑誌(Journal of the European Ceramic Society)に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在は、 Yb2Si2O7 から Yb2SiO5に復元の効率を最適化するため、水蒸気中の熱処理条件(温度、時間など)を検討している。目標は50%Yb2Si2O7からYb2SiO5にリサイクルできることまでである。
それと同時に、EBC積層体を作製するための溶射システムを準備している。これは昨年度で長岡技術科学大学で行う予定であったが、申請者は北海道に転勤した後地理的距離の影響があるので、溶射システムの準備が若干遅くなっていた。
従って、この事業は最初の計画に比べると、やや遅れいているが、上述の溶射システム以外は、他の設備と材料などの必要なものを殆ど用意した。そして、自己修復の効果と速度がよく改善できたので、これからこの研究が大きく進展できると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究計画は以下の通り予定している: 1)ナノ粒子を分散媒及び凝集防止剤とともに混合し、溶射法を用いて順次目標とするEBC積層体(1層は約100μm)を成膜する。その後、X線回析 (XRD)、走査型電子顕微鏡 (SEM/EDX)、透過型電子顕微鏡(TEM)などの分析方法で皮膜の微視構造を明らかにする。そして、皮膜の微視組織及び気孔率と機械的性質(硬さ、曲げ強度、破壊靭性など)相関関係を調査し、機械的性質を最適化するための溶射条件を明らかにする。
2)高温水蒸気環境で、作製した積層体のクラックヒーリング試験を実施し、修復可能なき裂長さの限界を明らかにする。具体的には、作製した積層体から試験片を加工し、マイクロビッカース試験機を用いて事前にき裂を導入し、疑似水蒸気環境中でき裂を修復する。試験後に、共焦点顕微鏡及びX線CTスキャン装置(X線CT)で修復された辺を観察することにより完全に修復か明らかにする。また、XRD 、SEM/EDX 、TEM 等を用いて、各皮膜の組成変化の度合いを調べる。
それから、来年度の計画は、試験片を疑似水蒸気環境にし、長時間に渡って暴露する。除冷した後に、各分析方法を行い、組成変化を調べることである。また、皮膜中の微細構造を観察し、き裂や層間剥離や破壊現象等が発生するか明らかにする。そして、暴露回数と回復するき裂長さの関係を取得し、き裂を修復できる限界の暴露回数を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、この事業は長岡技術科学大学での実施予定であったが、昨年4月から釧路工業高等専門学校へ異動したことにより、研究設備の調整が必要となり、予定していた計画を変更せざるを得なかった。初年度の実験・研究計画を2年目に移行することにより、(例えば、EBCを作製するための溶射は初年度に実施予定であったが2年目に変更)それらの実験に関する物品費等、経費も変更となった(「次年度使用額(B-A)」が大きく変更した)。
今年度は、昨年度に行う予定だった計画を実施したうえ、2年目の計画であるYb2Si05が熱処理で復元できるのを確認することなど、を進めていく。
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