研究課題/領域番号 |
18K14102
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
森 宣仁 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (70806215)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | organs-on-chip / 皮膚 / 肝臓 / 灌流 / 血管 |
研究実績の概要 |
2018年度は臓器モデルとして血管付き皮膚モデル、及び血管付き肝臓モデルの構築に注力した。 皮膚モデルについては、近年、生体皮膚が常に機械的刺激を受けていることに注目し、伸展培養が実施されている。本研究で使用する血管付き皮膚モデルにおいても、伸展培養を行うことで、より生体皮膚に近い培養条件を実現し、真皮及び表皮の高機能化が可能になると期待できる。そこで、培養デバイスの材料をこれまでの硬いアクリル系素材からシリコーンゴムに変更し、新たに開発した伸展装置と統合することで、皮膚モデル灌流伸展システムを構築した。このシステムを用いて皮膚モデルを種々の周波数の伸展刺激を与えながら培養した結果、表皮・真皮が改善された。 肝臓モデルについては、ハイドロゲル包埋法やスフェロイド法などで構築された三次元肝組織でアルブミンやシトクロムP450といった肝機能が高く発現することが報告されている。しかしながら、このように高い機能を有する三次元肝組織においても、in vivoと比べればその機能は依然低い。この一因として考えられるのは、これまでに考案された三次元肝組織に洞様毛細血管(類洞)が存在しないことである。そこで、本研究では培養デバイスを用いて三次元肝組織に送液ポンプを接続し、培養液を灌流することで、肝組織中の血管内皮細胞の自己組織化により毛細血管を形成する戦略をとった。この結果、生体の類洞に類似した構造を形成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臓器モデルの構築が進展しており、順調な進捗である。なお、当初心臓モデルを開発する予定だったが、創薬において重要な役割を果たす肝臓モデルの開発に切り替えて推進している。
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今後の研究の推進方策 |
皮膚モデルの改善については概ね完了したため、肝臓モデルを完成させ、これらの臓器モデルの接続を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していたCO2インキュベータが不要だったため。次年度においてデバイスの作製費、細胞培養費として使用する。
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