花粉管は、胚珠が分泌する誘引物質の濃度勾配上を伸長することで卵細胞の位置を認識していることが示唆されており、花粉管誘引物質の同定は植物の生殖メカニズムを解明する上で必要不可欠である。本研究では、自律駆動型マイクロ流体デバイスを用いて、研究者の操作を伴わずに誘引物質の活性を評価できる技術開発を目指した。昨年度までの研究で、培養液の流体移動が起こると同時に花粉管の伸長が止まってしまうケースを確認していたが、流路のデザインを変更することで液体が流れる時間を短くすることに成功し、この問題を解決した。誘引物質の濃度勾配下において、花粉管が伸長方向を変える様子も観察できた。しかし、わずかな伸長方向の変化を評価することは未だ困難であり、花粉管が誘引されているかどうかを自動で評価する仕組みの構築までには至らなかった。
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