本研究では、トポロジカル光波の空間特異性を利用した超解像スピン生成・検出手法を確立し、2種類のスピン軌道相互作用が働く半導体量子井戸中に光励起した電子スピンの空間緩和ダイナミクスを詳細に明らかにすることを目的とした。構築した時間空間分解Kerr回転検出系を構築し、まずは数マイクロメートルのスポット径でのスピンの時空間発展を観測した。さらに中心に光強度の暗点をもつドーナツビームの導入を行ったが、ドーナツビームの整形が難しく、かつ強度不足で狙った通りの超解像測定には至らなかった。一方で、電子スピンの時空間ダイナミクスの解明に関しては、電子の散乱が少ない二次元電子を用意し、光励起キャリアによるスピン歳差運動周波数の変化とスピン拡散速度の変化を定量的に評価した。
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