抵抗,キャパシタ,インダクタは電気回路の基本受動素子である.抵抗やキャパシタは物質中の電子状態に顕著に依存し,電気伝導率や誘電率といった物質固有の示強変数と結びつき,基礎物理,応用物理の両面から活発に研究されている.一方でインダクタは,古典電磁気学に基づいたコイル型構造から大きな進展はなく,インダクタの新しい原理が求められる.そこで我々は,非線形伝導由来の新しいインダクタ開発を目指して研究を行った。まず分子性結晶を用いて,1000 Hを超える巨大なインダクタンスの観測に成功した.つぎにGe薄膜を用いて,実験を行うことで,基板の影響,特に基板の熱伝導率が重要になることが明らかになった。
|