本研究では、比表面積の高いナノシート構造を持つ様々な材料{ヘテロナノシート(積層型・ドープ型)}を作製し、触媒能の評価法を確立する段階まで進めることを目標としている。その際、分光学的な組成の決定および機能評価、量子化学計算なども駆使することで、ドーピング元素種や導入量、積層する組み合わせに起因する機能の発現と物性などについて幅広く探索し、系統的に検討することにより従来の酸素還元触媒(Pt/C等)を凌駕する触媒開発を行う。本研究は平成30-令和2年度の3年間で行うことを計画してきたが、様々な状況が重なり1年延期し、令和3年度まで研究を実施した。 この4年間において実施したことは、具体的には、平成30年から31年度は、ベースとなる貴金属系のナノシートや触媒機能を有する金属含有ナノ材料の作製方法を調査した。続いて、平成31年度(令和元年)から令和3年度は、ナノシートの各種合成を検討し、新しいナノシートの合成に成功した。続いて令和4年度は、これまでに合成に成功したナノシートを用い評価手法の構築と実際の特性評価を実施してきた。その結果、新しい白金酸化物のナノシートを用い、還元方法を検討することにより、還元型白金酸化物ナノシートを作り出すことができたが、Pt/C同等のものは得ることができたが、超えるものの開発までには至ることができなかった。しかしながら、還元条件検討結果より酸化物と金属状態の比率に応じた触媒性能を確認することができた。
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