研究実績の概要 |
本研究の狙いは、光のノイズのない理想的な周波数帯を用いた高効率な連続量量子情報処理を実現し、大規模な量子情報処理へとつなげることである。従来、光の連続量の量子情報処理は、技術的な制約から、ノイズの影響を受けやすいレーザーキャリア周波数近傍の低周波帯(10MHz以下)に情報を乗せざるを得なかった。この場合、何ステップも情報を処理するとノイズが蓄積するため、大規模な情報処理は困難である。そこで本研究では、これまで低周波帯で行われてきた非古典光の生成・操作・検出を、ノイズのない500MHzの高周波サイドバンド帯で実現することを目指す。これが実現すれば、将来的にはノイズのない理想的な環境で、複数のサイドバンド帯に情報を乗せた、大規模な量子情報処理が展開できる。
平成30年度の段階で、非古典光の生成・検出に成功した(Physical Review Letters 121, 143602 (2018))。そこで令和1年度は、非古典光に量子操作を行うための技術開発を行った。最も典型的な量子操作として、測定型スクイーズ操作を実現することを目指し、そのための実験システムを開発した。測定型スクイーズ操作が正しく動作するためには、電気信号ラインの信号伝達タイミングおよび増幅率を適切に調整する必要があった。開発したシステムにおいてこの調整を行い、測定型スクイーズ操作を行うのに十分な精度で調整ができていることが確認できた。これにより、測定型スクイーズ操作を実際に行うための実験システムがおおむね完成したといえる。
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