研究課題/領域番号 |
18K14147
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
本田 光裕 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50749504)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 親水化 / 紫外プラズモン |
研究実績の概要 |
本研究では、紫外光の局在化により酸化チタン表面の光誘起超親水性領域のナノサイズ化及びそのパターニングを実現し、マクロなスケールで現れる機能性(流体のダイナミクス等)を明らかにすることを目的とする。本年度は、クレッチマン配置を用いて紫外領域の表面プラズモンを励起し、プラズモン効果を利用した親水性領域形成の検証を行った。 紫外領域における表面プラズモン共鳴の励起を実証するために、反射光強度を計測するための実験系を構築した。プリズムの一面をアルミニウムミラー面、もう片面を作製したアルミニウムナノ構造とし、紫外光の角度を変化させながら反射光強度を計測した。反射光強度の入射角度依存性から紫外光励起表面プラズモン共鳴の励起を確認した。また、プラズモン励起の際にアルミニウム薄膜上にアナターゼ型酸化チタン薄膜を配置すると、励起箇所のみ親水性領域が形成されることが分かった。 親水化領域の微小化にはアルミニウムナノ構造パターンを作製して用いる。作製には、大面積でナノ構造パターンを作製できるナノインプリント法を採用した。レプリカモールドの作製は手で行うインプリント転写で十分だが、マスクの作製では残膜の低減・除去が必要であり、手では不可能であった。液体分離方式インプリント(LTIL)技術により、残膜を数十nmに抑えたホール構造のマスクを作製した後、プラズマエッチングにより残膜を除去してマスクパターンを得ることができた。マスク上からアルミニウムを蒸着してマスクを除去し、最終的にアルミニウムナノピラーのパターン(200 nm幅, 500 nmピッチ)が基板上4 mm x 4 mm領域に得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
紫外領域のプラズモン励起及び励起条件の最適化を行い、酸化チタン薄膜の特定領域を親水化することに成功した。現在確認された親水化領域のスケールはミリから数百マイクロオーダーであるが、作製したアルミニウムナノ構造パターンを用いて、スケールダウンとパターニングが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、作製したアルミニウムナノパターン構造を用いて光誘起親水性領域のナノサイズ化を検証する。ナノ/マイクロパターンの親水性領域を有する酸化チタン薄膜上に水を滴下し、接触角(静的濡れ性)を測定する。親水性領域の面積と、親水性/疎水性の複合表面の接触角から濡れ仕事を計算し、ナノ領域に置ける表面エネルギーを評価する。また、異なる液滴サイズにおける接触角の測定や濡れ(動的濡れ)の測定を行い、ナノスケールまたはミクロスケールにおける接触角を計測する。異なる親水性領域のパターンを用いた静的・動的濡れ性の評価とナノスケールまたはミクロスケールにおける接触角より、親水性ナノパターンと静的・動的濡れ性との相関を明確にする。
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