研究実績の概要 |
紫外光励起プラズモンを利用した酸化チタン表面への親水性パターン形成技術の開発を目的とした。二次元の親水性パターンを形成するために、光誘起親水化機能を有する光触媒薄膜を作製した。一般的に、アナターゼ型酸化チタンが高い光触媒機能を有することが知られている。マグネトロンスパッタリングにおける成膜条件(全圧、酸素分圧など)を制御し、緻密でフラットなアナターゼ酸化チタン薄膜が得られる成膜条件を検証した。親水化領域の微小化にはアルミニウムナノ構造パターンを作製して用いる。作製には、大面積でナノ構造パターンを作製できるナノインプリント法を採用した。レプリカモールドの作製は手で行うインプリント転写で十分だが、マスクの作製では残膜の低減・除去が必要であり、手では不可能であった。液体分離方式インプリント(LTIL)技術により、残膜を数十nmに抑えたホール構造のマスクを作製した後、プラズマエッチングにより残膜を除去してマスクパターンを得ることができた。マスク上から金属を蒸着してマスクを除去し、金属ナノピラー構造(200 nm幅, 500 nmピッチ)が基板上4 mm x 4 mm領域に得られた。紫外領域における表面プラズモン共鳴の励起を実証するために、反射光強度を計測するための実験系を構築した。プリズムの一面をアルミニウムミラー面、もう片面を作製したアルミニウムナノ構造とし、紫外光の角度を変化させながら反射光強度を計測した。反射光強度の入射角度依存性から紫外光励起表面プラズモン共鳴の励起を確認した。また、プラズモン励起の際にアルミニウム薄膜上にアナターゼ型酸化チタン薄膜を配置すると、励起箇所のみ親水性領域が形成されることが分かった。このように、紫外光励起プラズモンを利用した酸化チタン表面への親水性パターン形成技術を実証実験を行った。
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