本研究は、高速動画観察可能な近接場光学顕微鏡を開発することを主たる目的とする。近接場光学顕微鏡の高い空間分解能で試料を動画観察できるようになれば、様々な試料の光学ダイナミクス観察が可能になる。 従来仕様では、カンチレバーの動きに合わせて、入射レーザーを走査することができていなかった。そこで、入射光をカンチレバーの動きに追従させるミラースキャナーを開発した。x方向とy方向に独立に操作できるピエゾ素子をミラーチルターに組み込み、自在に入射光の位置を制御できることを確認した。ラスター走査し、走査型の光学像を取得できることも確認している。 これだけでなく、カンチレバーの高速走査を担う高速原子間力顕微鏡の改良にも取り組んだ。従来仕様では、カンチレバーや試料ステージの走査範囲が狭いことなど、テクニカルな点ではあるが、実用上の不具合を抱えていた。これらを改良・解決し、操作性と安定性の高い高速原子間力顕微鏡へと仕上げることができた。 金属探針の作製も近接場光学顕微鏡において重要である。加えて、高速近接場光学顕微鏡では、高速原子間力顕微鏡で用いるマイクロカンチレバー上で、金属探針を作製する必要がある。本研究では、電子ビームデポジションとスパッタリングを組み合わせ、再現性高く金属ナノロッド構造を作製する技術を実現することに成功した。また、探針のリサイクル法も確立し、実用性を高めた。 これらの開発を重ね、これまでに蛍光染色したDNAを高い空間分解能で高速連続イメージングすることに成功している。
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