当該年度の研究計画は、「凝集型マイクロディスクの作製およびその評価」に向けた、1.シリカ粒子分散インクの開発、2.印刷の最適化、3.凝集型マイクロディスクの構造評価、4.レーザー露光・励起装置の立ち上げ、5.表面粗さを含むFDTD法の計算(モデルの構築)の実施である。 1.においては、溶媒にethyl methyl ketone (MEK)を用いたナノシリカ粒子分散溶液によるインクを開発し、レーザー発振可能なインクか判断するために分光光度計による光吸収損失特性の評価も併せて行った。また、先行して、結合剤にアクリル系オリゴマー、溶媒にpropylene glycol monomethylether (PGME)を用いた結合型マイクロディスク用のインクの開発も行った。 2.においては、良好なマイクロディスク構造が形成できる基板の選定を実際に開発したインクをインクジェット印刷することで行った。基板材料には、有機系ポリマーマイクロディスクで実績のあるフッ素系球状ポリマーなどを用いた。このとき、併せてピエゾ駆動型インクジェットヘッド、そのパルス電圧・幅の制御のためのピエゾコントローラ、メニスカス形成のための正負圧発生器からなるインクジェットシステムの各種パラメータを追い込みながら行った。 3.においては、光学顕微鏡・原子間力顕微鏡を用いて印刷された凝集型ナノシリカマイクロディスクのサイズやエッジのテーパー角などの形状評価を行った。 4.においては、Qスイッチパルス駆動のNd:YAGレーザーを新たに導入し、レーザー露光・励起装置の構築を行った。 5.においては、FDTD法のためのナノ粒子を分散させた凝集構造体の基礎モデルの構築を行った。ナノ粒子には新球を用い、粒径・空間占有率・中間物質の有無をパラメータとして扱うことができる。
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