研究実績の概要 |
本研究では、パルス捕捉現象による非線形光ループミラー(NOLM)を用いた全光型の光パルス計測技術の開発を行った。 本年度はまず、数値解析により、光パルス計測の有効性を検証した。ファイバーループ長10mの非線形光ループミラーを構築し、時間幅220 fs,パルスエネルギー140pJ、波長1610 nmの制御パルス光を用いれば、10 ps,1560 nm信号パルス光をサンプリングした。制御パルスと信号光に遅延差を与えて、出力強度を時間ごとに並べた結果、もとの信号パルスの形状とよく一致した。これよりパルスの再構築ができたと考えられる。また、出力スペクトルを時間ごとに並べることでスペクトログラムの構築も可能にした。 次に、提案する光パルス計測に使用するNOLMを実際に構築した。受動モード同期Er添加ファイバーレーザーと複屈折ファイバーを用いて、波長の異なる2パルス光を出力させた。信号光と制御光の間のタイミングはミラー等の空間光学系を用いて調整した。自動ステージを用いてミラーの距離を変えることで、時間差の調整や計測結果の取得をPCで行えるようにした。 作成した実験系を用いて、提案する光パルス計測の実証を行った。2パルス光のタイミングを変化させて、NOLM出力端における信号光の光スペクトルを測定した。結果から3.3 psパルス形状を再現することができた。NOLMのループ長を10 mから30 mへ長くしたとき、出力強度を増大させることができた。一方で、出力から再現される光パルス形状は大きく変化しなかった。したがって、この範囲であれば、ファイバー長を長くすることで、高感度にパルス形状を適切に測定できると考えられる。
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