研究実績の概要 |
次世代の超高速な光通信や超短パルスレーザー光源開発の分野で有用となる、全ファイバー型で全光型の超短光パルス測定技術を開発することを目的としている。本課題においては、パルス捕捉現象による非線形光ループミラー(NOLM)を用いた光パルスのスペクトログラム計測および強度・位相分布計測技術の開発を行った。制御光により信号光から抽出された光の光スペクトルを並べてスペクトログラムの構築を行い、超短パルス光の強度や位相の分布を計算した。実験と数値解析より、超短パルス光を用いた提案する手法による超短光パルス測定の実証及び解析を行った。 まず数値解析により、提案するスペクトログラム計測技術に必要となるNOLMの特性を解析した。数m~数十mの一般的な低複屈折ファイバーを用いることでスペクトログラムの構築が可能であった。次に、本研究で提案するパルス捕捉現象を用いたNOLMを構築した。超短パルスファイバーレーザーにより制御光と信号光を生成し、NOLMへ入射することで実験的な解析を行った。制御パルス光に遅延時間を与えて、出力光の光スペクトルを測定した。遅延時間ごとにデータを並べることでスペクトログラムを構築することに成功した。超短パルス光の強度や位相の分布を計算した結果、今回使用した信号光は2.7 ps, チャープ係数-1.1のsech型のパルス波形であった。数値解析においても、同様の条件の光を入力したところ、スペクトログラムから入力光の強度や位相分布をよく再現できた。 入力する制御光の強度やファイバーの長さに対して、出力光強度が変化した。ファイバー長5~50mにおいて、長い方が出力強度を大きくすることができた。本研究において、全ファイバー型で全光型の光制御デバイスの開発を行い、超短光パルスの強度や位相分布を測定する技術を開発に成功した。ノイズ低減を図ることにより、よりコンパクトなデバイスの実現が期待できる。
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