日本の家庭部門における野心的な省エネ目標を達成するに当たって、2030年には太陽光発電(PV)が新築住宅の標準設備となる。一方でPVなどの再生可能エネルギー発電(再エネ発電)導入時には、出力変動に対する調整力の確保が課題となる。そこで新たな調整力として、住宅の電力需要・PV出力に対して住宅エネルギー設備(蓄電池・燃料電池等)を制御することにより住宅内で出力変動を吸収するエネルギーマネジメントが検討されている。効果的な住宅エネルギーマネジメントには、住宅単位で電力需要・PV出力を予測し、住宅エネルギー設備の最適な運転パターンを計画する必要がある。しかしながら、生活行動や天候といった不確実性に対して住宅電力需要・PV出力を適切に予測する手法はいまだ確立していない。本研究は、生活行動や天候といった不確実性に対して住宅電力需要・PV出力を適切に予測する手法の開発を目的とする。 本年度は、需要家のアグリゲーションによる予測精度の向上について検討した。同一街区に位置する住宅でも、電力需要・PV出力は大きく異なる場合が多い。これは居住者のライフスタイル、住宅の断熱性能・設備、局所的な大気現象の違いなどが電力需要・PV出力に影響するためである。そこで、近隣住宅の電力需要・PV出力を合わせることで、住宅間のばらつきが抑制されて予測精度が向上することが期待されており、需要家側のエネルギーリソースのアグリゲーションビジネスへの応用が期待されている。そこで機械学習手法・アグリゲーション世帯数の違いによる住宅電力需要・PV出力の予測精度を評価した。また、住宅エネルギーマネジメントの中でも活用が期待される住宅用PVC・蓄電池システムを対象に、導入効果や経済性を評価するツールを開発した。
|