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2019 年度 実績報告書

全内部反射過渡回折格子装置の構築と脂質二重膜中のロドプシンのイオン輸送過程の観測

研究課題

研究課題/領域番号 18K14175
研究機関筑波大学

研究代表者

近藤 正人  筑波大学, 数理物質系, 助教 (20611221)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード過渡回折格子法 / 拡散係数 / 固液界面 / 支持膜 / 全内部反射
研究実績の概要

本課題では,全内部反射プローブ方式による過渡回折格子(TG)法の適用により,脂質二重膜中でのロドプシンの構造変化やイオン輸送過程を時間分解検出することを目的に,装置構築のレベルから取り組んだ.前年度までに,装置の構築,試料部の改善,および,石英プリズムと水溶液界面のリン脂質DMPC支持膜中のスチルベンの系に適用する実験まで到達した.最終年度は,まず,このスチルベンの系の全内部反射TG信号の詳細を研究した.信号の時間変化に観られた各成分の帰属のため,様々な格子波数でTG測定を行った.その結果,膜中のスチルベンのTG信号には,その拡散を反映した信号が,二つ含まれていることが分かった.これらの信号から,膜中のスチルベンの拡散係数として,二つの異なる値を得た.この事実は,DMPC膜中に低粘性および高粘性の二つの環境があることを示している.このように,全内部反射TG法の適用により,透過配置のTG法では難しかった膜中の拡散測定を実現した.以上と並行して,ロドプシンの系に適用する試みも進めた.だが,前年度までに構築した光軸調整法を,この系に適用できないという問題点が見つかった.全内部反射TG装置の調整は非常に難しい.光軸調整専用の液晶分子試料で調整後,測定したい試料に交換している.問題は,この液晶分子が可視領域に吸収を持たないことである.ロドプシンのTG測定には,その発色団レチナールが吸収を示す可視領域の励起光を用いる必要がある.だが,可視領域の励起光では光軸調整用の液晶分子試料を励起できない.そのため,ロドプシン測定の実験条件で光軸調整する方法を新たに構築する必要が生じた.現時点ではその構築に至っていない.この問題については,可視領域に吸収を持つ分子を液晶分子に混合した試料を用いることで解決できる可能性を見出しつつある.今後,この可能性を精査してロドプシンのTG測定の実現を目指したい.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Observation of translational diffusion in a planer supported lipid bilayer membrane by total internal reflection-transient grating method2020

    • 著者名/発表者名
      Masato Kondoh, Hidekazu Moritani, Taka-aki Ishibashi
    • 雑誌名

      Bulletin of the Chemical Society of Japan

      巻: 93 ページ: 671-675

    • DOI

      10.1246/bcsj.20200019

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Time-resolved infrared study of photo-induced ring-closure reaction of trans-2-hydroxychalcone2020

    • 著者名/発表者名
      Masato Kondoh, Chinatsu Takizawa, Kazuki Okazawa, Dai Akase, Misako Aida, Taka-aki Ishibashi
    • 雑誌名

      Journal of Photochemistry and Photobiology A: Chemistry

      巻: 389 ページ: 112280

    • DOI

      10.1016/j.jphotochem.2019.112280

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Photo-induced ring-opening reaction of flav-3-en-2-ol monitored by time-resolved infrared spectroscopy2019

    • 著者名/発表者名
      Masato Kondoh, Akira Sakuta, Kazuki Okazawa, Dai Akase, Misako Aida, Taka-aki Ishibashi
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry B

      巻: 123 ページ: 8499-8504

    • DOI

      10.1021/acs.jpcb.9b07108

    • 査読あり
  • [学会発表] 芳香族ウレア-酢酸イオン会合体の光誘起プロトン移動の時間分解赤外分光と多変量解析2019

    • 著者名/発表者名
      近藤正人,本多駿斗,東ヶ崎慶,西村賢宣,新井達郎,石橋孝章
    • 学会等名
      第13回分子科学討論会
  • [学会発表] 全内部反射過渡回折格子法による脂質二重膜中の分子拡散係数の測定2019

    • 著者名/発表者名
      森谷英和,近藤正人,石橋孝章
    • 学会等名
      第13回分子科学討論会
  • [学会発表] 水上脂質単分子膜中におけるSHGプローブ色素AP3のHD-VSFG測定2019

    • 著者名/発表者名
      中島晃希,近藤正人,新井達郎,石橋孝章
    • 学会等名
      第13回分子科学討論会

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公開日: 2021-01-27  

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