全内部反射プローブ方式の過渡回折格子(TG)法の適用により,脂質二重膜中でのロドプシンの構造変化やイオン輸送過程を時間分解検出することを目標に,装置構築のレベルから研究した.まず,全内部反射TG装置を立ち上げ,その試料部を改善した.次に,より単純な膜中の系として,石英プリズムと水溶液界面のリン脂質DMPC支持膜中のスチルベンを対象に全内部反射TG測定を行い,その分子拡散を調べた.その結果,膜中のスチルベンが二つの異なる拡散係数を示すことを見出した.この事実は,DMPC膜中に低粘性および高粘性の二つの環境があることを示している.膜の不均一構造を実験的に支持する結果を得た.
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