研究実績の概要 |
安価で入手容易なキラル源であるBINOLやキナアルカロイドとケイ素試薬を用いて、環境にやさしいキラルなケイ素錯体および有機分子触媒の合成を行い、不斉反応へと応用した。不斉Pictet-Spengler反応やケトエステルの不斉ヒドロシリル化や不斉シアノ化など種々の不斉反応に展開した。中性のケイ素触媒は安定性は高いものの、その反面触媒活性に課題が残っているため、ケイ素カチオン(シリリウムカチオン)にも着目し、高活性ルイス酸錯体を見出しつつある。光応答性分子であるアゾベンゼンとケイ素やホウ素のルイス酸性を利用したスイッチング型不斉配位子の開発を行っている際に、副生成物として2H-インダゾールが得られることを見出した。2H-インダゾールは、インドールやベンゾイミダゾールの生物学的等価体であり、その有用性に着目して合成研究を行ったところ、メタルフリーかつ温和な条件で進行する2H-インダゾールの効率的合成法の開発に成功した(Chem. Eur. J. 2019, 25, 9866-9869)。また、環境にやさしいルイス酸触媒だけでなく、ルイス塩基触媒についても研究を行った。アミノ酸由来のホスフィン触媒、ジエノン、アレン酸エステルの存在下、精密フロー合成法によって高度に官能基化されたスピロオキシインドール誘導体を迅速かつ高選択的に合成することに成功した。本反応の最適条件探索に際して、機械学習法の1つであるガウス過程回帰法が有効に働くことを見出した(Chem. Commun. 2020, 56, 1259-1262)。
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