プルシアンブルー等の様々な鉄錯体結晶を取り上げ,結晶骨格の構造歪みと電子・スピン状態の変化,内包イオンの運動の関連性を理論的に明らかにした.参照状態を適切に選択した差スピン密度マップを用いて鉄錯体結晶の複雑な電子・スピン状態を明瞭に可視化できることを示し,内包イオンの運動とプルシアンブルー骨格の電子・スピン状態の協同的な変化を初めて明るみに出した.また,電子状態理論と核波動関数理論を組み合わせた理論プログラムを開発し,エネルギー分割法を核波動関数へ拡張した.本研究で開発・応用した理論手法やプログラムを活用し,様々な金属錯体結晶へ適用することで今後,協同性の理解が一層深まるものと期待される.
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