研究実績の概要 |
前年度までに、第四世代型フェニルアゾメチンデンドリマー (TPM-DPAG4) に前周期4d/5d金属塩 (Zr(IV), Nb(V), Mo(V), Hf(IV), Ta(V), W(VI)) を階層的当量集積することに初めて成功し、TPM-DPAG4に四種の前周期金属 (Ta(V), Nb(V), Mo(V), Zr(IV)) を溶液中で4, 8, 16, 32当量集積した。最終年度は、得られたナノ集積体のキャラクタライズとレドックス活性の検証を行った。 溶液中で調整した四種の前周期金属 (Ta, Nb, Mo, Zr) を含むデンドリマー錯体をカーボン担体へ滴下することで、カーボン上にナノ集積体を吸着させた。走査型透過電子顕微鏡観察により、1-2 nm程度の粒子がカーボン担体上に分散担持されていることを確認した。また、エネルギー分散型X線分析により四種の前周期金属が同一粒子上に共存していることが分かった。スペクトルのピーク面積値からそれぞれの金属を定量したところ、四種の金属は仕込み比 (1:2:4:8) と同等であることが分かった。この様な組成比が規定された四種の前周期金属を含むナノ集積体は、これまでに全く報告例が無く、本研究が初めて作成することに成功した。更に、得られたナノ集積体は水素下で500 ℃で焼成することでクラスター化することが分かった。X線光電子分光により、初期状態でV価であったMoは、水素還元によりIII~IV価へ還元されることが明らかとなった。この酸化数の変化は前周期金属の柔軟な電子状態を反映しており、特にMoは二酸化炭素等のレドックスを伴う基質捕捉活性化サイトとして有望であることが示唆された。
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