研究課題
若手研究
分子サイズの穴を持った半球状金属酸化物構造の内部を活用したホストーゲスト化学を展開した。ゲストが除去されると、バナジウム酸素種の四角錘ユニットの一つが反転し、ゲストを再包接すると元の構造に戻るという構造変化を観測した。溶液中でこの構造の一部の反転をモニターすることで、ゲスト分子と半球状ホストとの相互作用を定量することに成功した。バナジウム酸素種の四面体構造からなる構造では、中心に金属多核構造を安定化させることに成功し、特異的な電子移動を観測した。
無機化学
バナジウム酸化物は有能な触媒活性サイトとして知られているが、相互作用する分子の有無でVO5四角錘ユニットが容易に反転することを初めて見出した。これは、触媒反応メカニズムを考える際に、部分構造の反転を考慮に入れる必要性を提示できたという点で意義深い。金属酸化物の配位ユニットを変え、金属酸化物を分子レベルで制御し、その内部空間を利用した物性・機能、反応性解明囲まれた内部空間を利用した化学は新たな材料設計の指針になり得る。