研究課題/領域番号 |
18K14253
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
八巻 優佳 首都大学東京, 理学研究科, 特任研究員 (80781525)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 質量分析 / RNA / 転写後修飾 / シュードウリジン |
研究実績の概要 |
RNAが機能性を獲得するためには、DNAから転写された後にさまざまな修飾を受ける必要がある。転写後修飾のひとつとして、ウリジン残基の異性化によるシュードウリジン化が挙げられる。修飾の多くを占めるシュードウリジン化は、核小体低分子RNA(snoRNA)-タンパク質複合体により行われる。修飾部位の決定には、修飾の標的となるウリジンの近傍と相補的な配列を有するsnoRNAがガイドRNAとして関与することが明らかにされている。これまで100種類にも及ぶsnoRNAが同定された。一方で、snoRNAの配列情報だけではシュードウリジン化サイトの推定に留まり、確定することができない。本研究ではsnoRNAの導きにより、一体どのウリジンがシュードウリジン化修飾を受けるのかを明確にする方法の開発を目指す。 ヒトRNAにおけるシュードウリジン化修飾を簡便に、かつ網羅的に同定する方法の開発を目指し、本年度はヒト培養細胞より抽出したRNAをRNaseで断片化し、質量分析計を用いてRNA断片の質量電荷数比(m/z)を検出し、データベースサーチAriadneを用いてシュードウリジン化サイトの同定を試みた。 実際に、ヒトリンパ芽球TK6細胞のウリジン一リン酸(UMPS)新合成経路を阻害したΔUMPS株の培養液に5,6-d2ラベルウリジンを添加し、ウリジンに比べて重水素2個分(2Da)だけ質量が増加したtotal RNAを抽出し、そこからさらに核内RNA(snRNA)を精製した。精製したsnRNAをRNase T1またはRNase Aで断片化し、質量分析計によりシュードウリジン化修飾の有無で変化するRNA断片のm/zを検出した。得られた結果は既報のシュードウリジン化サイトを同定するものであり、本方法がシュードウリジン化サイトを同定できる方法であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトリンパ芽球TK6細胞ΔUMPS株を用いて、既報の核内RNA U1、U2、U4、U5、U6 snRNAについて既知の全てのシュードウリジン化サイトを同定した。それぞれのsnRNAをRNase T1またはRNase Aで消化し、質量分析を行った。RNase T1はグアノシンの3’側を特異的に切断し、RNase Aはピリミジンの3’側を特異的に切断する酵素である。これらの消化酵素を用いてRNAを消化することにより、修飾有無を分析する対象RNA の全塩基を100%カバーした解析を実現した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで本方法を用いて、U2 snRNAにおける新規シュードウリジン化サイトを明らかにした。実際にU2に未知修飾があることを確認するために、U2 snRNA発現ベクターを構築し、13Cラベルを用いたSILNAS法による検証を行う予定である。また、シュードMS3法でシュードウリジンを含む可能性があるがその場所が不明瞭なU3 snoRNAについて解析を進める予定である。5,6-d2ラベルウリジンを取込ませたΔUMPS株から抽出したtotal RNAよりU3 snoRNAを精製し、RNase消化の後に質量分析を行う。U3 snoRNAに新規シュードウリジン化サイトが同定された場合には、U3発現ベクターを作製し、SILNAS法を用いて修飾サイトを同定することで、本研究で見出した新規シュードウリジン化サイトが擬陽性でないことを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年前期は、すでに研究室に購入されていた細胞培養用培地や試薬等を用いて実験が可能であった。また2018年11月の出産に伴い、2018年10月中旬から産前・産後および育児休業を取得しているため、次年度使用額が生じた。 次年度は計画通り、細胞培養用培地・分析用試薬・消耗品等の購入、論文の投稿を行う予定である。
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