研究課題/領域番号 |
18K14257
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
古谷 俊介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (60632031)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | DNAシーケンス / PCR / マイクロチップ / 電気泳動 / 高速検出 / 薬剤耐性菌 |
研究実績の概要 |
近年、抗菌薬の不適切な使用による薬剤耐性菌の増加が世界的な問題となっている。そのため、迅速かつ正確な細菌同定の確定診断技術の開発を目指して、サンガー法の3つの要素である技術であるPCR・蛍光標識・電気泳動を高速化し、40分以内での高速かつ正確な高速DNAシーケンス技術の開発に取り組んでいる。 2018年度は「細菌同定に必要な16S rDNA遺伝子のPCRと蛍光標識の高速化」及び「マイクロチップ電気泳動での蛍光検出を行う光学系の構築」を当初の計画通り実行した。PCRと蛍光標識の高速化では、酵素とプライマー濃度を最適化して800 bpの産物を得るための高速反応の条件を確認し、PCRと蛍光標識のバランスを調整することで25分以内でPCRと蛍光標識を実現できる条件を見出した。また、光学系の構築では、BigDye試薬で4色に蛍光標識されたA、T、G、Cの塩基をマイクロチップ電気泳動で分離中にサイズ毎に検出するための光学系を構築した。当初、488nmのレーザーでの励起を予定していたが、励起光の強度を確保するために、水銀ランプを使用することで明確にサイズ別の増幅産物のピークを検出することに成功した。この光学系を用いた、マイクロチップ電気泳動では800 bpの増幅産物の電気泳動を約7分で実現可能であった。さらに、2019年度に予定していた「マイクロチップ電気泳動での高速分離条件の検討」も一部予定を繰り上げて進め始めており、ポリジメチルアクリルアミドを分離ポリマーとして用いることで、再現性が高い分離が可能なことも確認できた。 今後、得られた電気泳動結果から塩基配列の解析を行うためのベースコールのアルゴリズムの開発を行い、40分以内での高速DNAシーケンス技術による細菌同定の達成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「細菌同定に必要な16S rDNA遺伝子のPCRと蛍光標識の高速化」では、酵素とプライマー濃度を最適化して800 bpの産物を得るための高速反応の条件を確認し、PCRと蛍光標識のバランスを調整することで25分以内でPCRと蛍光標識を達成した。 また、「マイクロチップ電気泳動での蛍光検出を行う光学系の構築」では、BigDye試薬で4色に蛍光標識されたA、T、G、Cの塩基を分光して検出するための光学系を構築し、マイクロチップ電気泳動で分離中に1塩基レベルでサイズ毎に検出が可能なことを確認済みである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、「マイクロチップ電気泳動での高速分離条件の検討」と「高速DNAシーケンスによる高速細菌同定」の研究計画を実施する。 マイクロチップ電気泳動での高速分離条件の検討では、分離ポリマーとコーティングポリマーの選定及び、最適な電圧印加条件の検討を行う。また、高速細菌同定では、高速DNAシーケンスで得られた細菌の塩基配列を既存のDNAシーケンサーで得られた結果を比較し、開発装置の評価を行う予定である。
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