研究課題/領域番号 |
18K14263
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
布目 陽子 広島大学, 総合科学研究科, 助教 (80631598)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | グロー放電プラズマ / 質量分析 / 揮発性有機化合物 / 検量線 |
研究実績の概要 |
近年、健康に有害な影響を及ぼすとしてPM2.5や黄砂などの大気浮遊粒子状物質(エアロゾル)が注目されている。人為起源や自然起源の揮発性有機化合物(VOC)や半揮発性有機化合物(SVOC)から大気中の光化学反応や酸化反応によって生成する二次生成有機エアロゾル(SOA)は、エアロゾルの主要な成分となっており、その化学組成や毒性について未解明な点が多い。 本研究では、申請者らが考案した同軸型ホローアノード・ホローメッシュカソードから構成される電極を持つイオン源(ソフトプラズマイオン源:SPI源)を質量分析計(MS)と組み合わせ、直流(DC)パルス電圧印加によるグロー放電プラズマ(非平衡プラズマ)を利用し、大気中有機エアロゾル計測のための簡便・迅速な直接分析技術の構築を目指す。 平成30年度は、今までグロー放電を発生させる電力源として用いていた直流(DC)電源を、平均投入電力を抑えることができるDCパルス電源に改良した。改良したDCパルス電源を質量分析計に接続し、パルスグロー放電プラズマによる気相試料のイオン化について検討した。基礎的知見を得るため、有機エアロゾルの生成原因の一つであるVOCを測定対象化合物とした。まず各種プラズマパラメーター条件(放電電力、ガス圧、パルス周波数、Duty比、試料導入量)の最適化を行い、最適イオン化条件を決定した。その最適条件に基づき、本システムを用いたVOCの検量線を作成し、定量性能を検出下限(LOD)や定量限界(LOQ)などにより評価した。なお、本研究の成果の一部は、国内会議で口頭発表し、また論文については、現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DCパルス電源駆動のSPI-MSを用いて、最適イオン化条件を検討した結果、サブppmオーダーの感度が得られることが分かった。さらに検出感度を高めるため、当初の計画書通り、放電部とMSとの同期タイミングの最適化を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は予定通り、二次元分光測定を行うため、イメージング分光器を購入するが、購入するまでの間に、上記課題について検討する。購入後はすみやかに、イメージング分光器を用いてグロー放電プラズマ中のプラズマ化学種の空間分布を測定する。二次元発光スペクトル解析を行い、化学種の二次元マッピングを得ることで試料のイオン化メカニズムを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
超高感度CCD検出器の見積額に変更が生じたため、次年度使用額に変更が生じた。 当初の予定通り、超高感度CCD検出器の購入に利用する。
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