研究課題/領域番号 |
18K14277
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
太田 佳宏 神奈川大学, 工学部, 助教 (90625617)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ハイパーブランチポリマー / 連鎖縮合重合 / 開環メタセシス重合 / ブラシブロック共重合体 |
研究実績の概要 |
本研究では、側鎖にハイパーブランチポリアミド(HBPA)を有するブラシブロック共重合体を合成し、その自己組織化によって、短波長から長波長の任意の光を効率的に反射する新規フォトニック結晶の開発を目的とする。 今年度は、まず、開始剤存在下でエステル部位にトリエチレングリコール鎖を有する AB2モノマーの連鎖縮合重合を行い、分子量分布の狭いハイパーブランチポリアミドを合成した。続いて、ハイパーブランチポリアミドのフォーカルポイントを官能基変換して、ノルボルネンイミド部位を有するハイパーブランチポリアミドマクロモノマーを得た。次に、ノルボルネンイミド誘導体に原子移動ラジカル重合の開始部位を導入し、そこからスチレンのラジカル重合を行い、ノルボルネンイミド部位を有するポリスチレンマクロモノマーを得た。 次に、ノルボルネンイミド部位を有するポリスチレンマクロモノマーを用いて開環メタセシス重合の条件検討を行った。まず、Grubbs触媒とポリスチレンマクロモノマーの濃度の検討を行った結果、Grubbs 触媒には第二世代Grubbs 触媒に3-クロロピリジンを作用させたものが適しており、ポリスチレンマクロモノマーの濃度は0.025Mが適していることがわかった。さらに、この重合系に3,5-ジクロロピリジンを添加すると、生成ポリマーの分子量分布が少しだけ狭くなった(Mw/Mn=1.54)。また、使用するポリスチレンマクロモノマーの分子量分布を1.15から1.05に変えて重合すると、生成ポリマーの分子量分布はより狭くなった(Mw/Mn=1.25)。さらにポリスチレンマクロモノマーの濃度を0.0125 Mにして重合を行うことで、より分子量分布の狭いポリマー(Mw/Mn=1.16)が生成することを明らかにした。また、ハイパーブランチポリアミドマクロモノマーの開環メタセシス重合も進行することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ノルボルネンイミド部位を有するポリスチレンマクロモノマー、ハイパーブランチポリアミドマクロモノマーの合成経路を確立できた。さらにポリスチレンマクロモノマーを用いて開環メタセシス重合の適切な条件を明らかにでき、ハイパーブランチポリアミドマクロモノマーの重合も進行することがわかった。この条件を用いれば、ブラシブロック共重合体が合成できると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度明らかにした開環メタセシス重合の適切な条件を用いてブラシブロック共重合体の合成を検討する。まず、マクロモノマーの重合させる順番を検討し、どちらを先に重合するのが適しているかを明らかにする。次に、主鎖の重合度を種々変えたものを合成する。得られるブラシブロック共重合体を自己組織化させて、得られる組織体の構造を SAXS、SEM、TEMを用いて解析する。さらに、反射率測定を行い、主鎖の重合度(分子量)と反射光のλmaxの関係を明らかにする。
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