研究実績の概要 |
アルキン[2+2+2]環化付加重合を基盤にπ共役系高分子合成を意図した,モノマーの設計を行い,新しい機能性高分子合成における検討を行った。昨年度のモデル反応又モノマー合成の簡便さからベンゾチオフェン型モノマーをターゲットとして,モノマー合成,重合反応を行いポリベンゾチオフェンの合成を行った。しかし,重合反応は円滑に進行したものも分子量分布は広くなってしまった。このことについて現在調査中であるが,本重合の鍵となる触媒連鎖移動の際にチオフェンの硫黄元素が触媒に配位してしまい,連鎖性が失われてしまったと考えている。昨年度と,本年度の知見をもとに,現在インドール骨格のモノマーの検討を行っている。本年度は本重合反応を利用した共役系高分子合成の別のアプローチ法を検討した。具体的には,直接共役系高分子を合成するために設計されたモノマーは複雑であるため,原料の入手性や多段階の有機合成反応を行う必要があり,コストと時間を要する。できるだけ簡便に,共役高分子の合成を行うために以下の別のアプローチとして,共役高分子を直接合成するのではなく,合成した高分子に高分子反応を行い,共役高分子へと変換することにより,比較的短工程でかつ簡便に共役高分子を合成することができる。そこで,本年度はモノマーの設計を行うため,モデル反応を実施の検討を行った。その結果,環化付加反応,高分子反応となる脱水反応も問題なく進行することがわかり,環化付加重合のモノマーとして使用できることが明らかなった。
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