研究実績の概要 |
昨年度までにアルキン[2+2+2]環化付加重合における共役系高分子の合成を行った。本年度は,昨年度までの知見を基にアルキン/ニトリル [2+2+2]共環化付加重合によるピリジン骨格を主骨格とした共役系高分子の合成を目的とした。反応は触媒の配位子を変更するだけであるが,モノマーにニトリル を導入する必要があり,まずモノマー合成において合成ルートを確立するようがある。そこで,昨年度までの知見を基に,インドール骨格を有するモノマーの合成に着手した。5-シアノインドールを出発原料として,ベンゼンスルホニル保護を行い,LDAを作用させてインドール2位の選択的リチオ化を行った。次に,ヨウ素を作用させ,2位にヨウ素を導入し,薗頭反応により1-ヘキシンを作用させアルキンを導入した。次に,炭酸カリウム,無水メタノールを用い,還流条件下でベンゼンスルホニル基を脱保護を行い,プロパルギルブロミド誘導体を用いN-アルキル化を行いモノマーの合成を5行程29%で行うことが可能であることを明らかにした。次に合成したモノマーと触媒に 塩化コバルト6水和物,dppe,亜鉛を用いてアルキン/ニトリル [2+2+2]共環化付加重合を行ったところ重合反応は円滑に進行し,対応するピリジンを主骨格とする共役系高分子(分子量1821[NMR算出])を収率71%で得ることができた。この高分子のクロロホルム溶液についてUV・可視光吸収および蛍光発光測定を行った。極大吸収波長が266, 332nmであり,最大発光波長が373nmであった。今後,高分子の導電性等の電気的特性についても測定を行っていく。また,本研究において重合反応も問題なく進行しかつ,モノマー合成ルートはアルキン末端に置換を導入が容易であるため,任意の置換基を導入することが可能であり様々な機能性高分子合成が可能であることが示唆される。
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