研究課題/領域番号 |
18K14279
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
筒場 豊和 群馬大学, 大学院理工学府, 研究員 (70807396)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ニトリルオキシド / [2]ロタキサン / ロタキサン架橋高分子 / 無触媒クリック反応 / 後架橋反応 / エラストマー / 超分子化学 / 架橋高分子 |
研究実績の概要 |
高分子の物性は架橋することで大きく変化し、安価な材料である汎用高分子の物性を少量の架橋剤で飛躍的に改変できれば、材料開発における革新的技術となる。近年報告されている「ロタキサン架橋高分子」は、可動性の架橋点を有するために他の架橋高分子とは異なる興味深い力学特性を発現する。しかしながらこのロタキサン構造の適用可能な高分子が少ないのは、汎用高分子へのロタキサン架橋部位の直接的な導入が非常に困難であることに他ならない。そこで本研究課題では汎用高分子を高効率で修飾可能なクリック反応剤であるニトリルオキシドに着目し、これを用いたロタキサン架橋高分子の高効率合成を目指した。未だに既存の合成高分子に後架橋にて直接ロタキサン構造を導入することに成功した例はなく、この手法を確立できればより優れた物性を有するロタキサン架橋高分子の合成が可能となり、高付加価値の材料を提供可能になると期待される。 本年度は不飽和結合を有する汎用高分子からロタキサン架橋高分子を合成するためのニトリルオキシド基含有ロタキサン架橋剤の合成とそれを実際に用いた架橋反応、さらにニトリルオキシドで架橋可能な汎用高分子の種類の拡充を推進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は以下の理由により本研究課題が概ね順調に進行していると判断している。 ①ニトロアルカン前駆体を駆使してニトリルオキシド基含有ロタキサン架橋剤を首尾よく合成したこと。 ②ニトリルオキシド基含有ロタキサン架橋剤がポリアクリロニトリル等の汎用高分子と効率的に反応することを見出したこと。 ③ロタキサン架橋を導入する対象として、ビニルポリシロキサンがニトリルオキシドで効率的に修飾、架橋できることを見出したこと。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は上記で得たニトリルオキシド含有タキサン架橋剤のクリック反応によりロタキサン架橋高分子を合成し、その力学特性の評価を行う。その際にはロタキサン構造の代わりに共有結合で架橋された架橋体を別途合成し、それと比較することでロタキサン構造を導入した汎用高分子が強靭化されているかを評価する。また予定にあったSBRやNRだけではなく、EPDMやNBRといった汎用エラストマーから、ポリシロキサンやフッ素ゴムのような極端な表面特性、力学物性の高分子にもこの合成法を適用し、その汎用性を示す。
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