研究課題
架橋液晶高分子は液晶分子の配向変化に伴ってマクロな変形を示すため,ソフトアクチュエーターとしての応用展開が期待されている。これにアゾベンゼンなどのフォトクロミック分子を導入すると,光刺激によりマクロな変形を誘起できる。これまでに,架橋アゾベンゼン液晶高分子に非晶高分子を導入して複合化することにより,高分子光アクチュエーターの光応答性・力学特性を制御することに成功している。本研究では,架橋液晶高分子/非晶高分子複合系におけるモルフォロジーとマクロな物性・機能を明らかにするとともに,ミクロ構造を制御することにより高分子光運動材料の高性能・高機能化を図った。2021年度においては,架橋アゾベンゼン液晶高分子と非晶高分子から成る相互侵入高分子網目(IPN)についてミクロ構造を評価した。スメクチック相を示す二官能性液晶モノマーを液晶溶媒中で重合すると,モノマー濃度が10%以下の場合においても連続的なネットワーク構造が形成されることが分かった。また,液晶性マクロモノマーを用いた場合も同様の構造が得られた。これらの液晶ポリマーネットワークをテンプレートとすることにより,液晶成分の濃度が低い場合においても,共連続構造を有するIPNが形成可能であることが分かった。また,架橋液晶高分子と非晶高分子からなるIPNについて,非晶成分を非架橋とするセミIPNについても検討を行った。セミIPNフイルムをポリメチルメタクリレートおよびポリブチルメタクリレートのフィルムに積層して加熱することにより二層型フィルムを得た。このフィルムに紫外光・可視光を照射すると可逆的に屈曲した。二層型フィルムは剥離することなく繰り返し変形が可能であることが分かった。これは各層の非晶高分子成分が相互拡散するためであると考えている。セミIPNの構造および基材フィルムの種類により,光運動材料の物性を制御することが可能になった。
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Advanced Optical Materials
巻: 9 ページ: 2100053~2100053
10.1002/adom.202100053
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tikeda/ikedalab/