本研究は,優れた有機半導体の創出を目的に共有結合性有機構造体(COF)の精密構造制御について検討したものである.特に,非平面型の環状π共役系であるデヒドロベンゾ[24]アヌレン([24]DBA)が,その立体構造上の制約によりズレ無くスタッキングする特性を活かしたCOFの構築を中心に検討を進めた.その結果,[24]DBAを構成要素とする結晶性化合物を得ることに成功し,各種スペクトル測定や比表面積測定,構造モデルからのシミュレーションなどから,当初設計したCOFが得られたことを確認した.また,非平面型のピレン誘導体をモノマーとするCOFを,独自の「塗布重合法」で成膜することにも成功した.
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