研究課題
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー (TPCO)の一種であるBP2T-CNの薄膜 (105 nm)を活性層とするDBRマイクロキャビティを作製し,その光学特性を調べた.DBRミラーには,Ta2O5とSiO2から成る6ペアの交互積層膜を用いた.BP2T-CN薄膜のX線回折測定を行ったところ,BP2T-OMeの(013)面と(204)面からの回折ピークが観測されたため,BP2T-CN分子は基板表面に対して分子軸が寝た配向をとることがわかった.このBP2T-CNマイクロキャビティの角度分解透過スペクトルを調べた結果,300 meV以上のラビ分裂エネルギーが得られた.BP2T-CNマイクロキャビティの発光スペクトルの励起密度依存性を調べた結果,励起密度の増加に伴って発光帯がブルーシフトする結果が得られたが,励起密度に対して超線形に増大する振る舞いは観測されなかった.気相成長法または溶液成長法により作製した単結晶を活性層とするマイクロキャビティについては,レーザー発振観測のために結晶性と膜厚の最適化を行っているところである.また,DBRミラーの作製に必要なスパッタリング装置がメンテナンスでしばらく使用できない期間があったため,真空蒸着で作製が可能なLiF-TeOxマイクロキャビティの作製を行い,光学測定を行う準備を整えた.BP2T-OMeバルク結晶のパラレルな両端面をファブリ・ペローキャビティとして用いた場合には,レーザー発振の閾値以下でASE帯に対して3つに分裂した発光帯が観測された.モード構造を伴ったこのスペクトルを基にエネルギー対波数 (E-k)プロットを作成したところ,明確な分散関係を持つことがわかった.励起子ポラリトンモデルに分子振動を伴った0-1・0-2発光帯のエネルギー準位を加えたモデルを用いてこの分散プロットのフィッティングを行ったところ,励起子-光子-分子振動が結合した励起子フォノンポラリトンの存在が示唆された.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 60 ページ: SBBH11-1-6
10.35848/1347-4065/abdb7f
RSC Advances
巻: 10 ページ: 24057-24062
10.1039/D0RA04742B
https://mswebs.naist.jp/LABs/optics/index-j.html