全固体Li電池の高性能化に向け、固体電解質/電極界面抵抗起源を解明するために清浄な界面有する理想モデル電極を作製し、界面抵抗を定量的に評価する研究を行ってきた。本研究においては以下に取り組んだ。 ①:実用型のLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2 (NMC)やLiNi0.8Co0.15Al0.05O2 (NCA)正極材料に着目し、パルスレーザー堆積法により高品質エピタキシャル薄膜の合成を行った。そしてNMC(001)とNMC(104)結晶方位でそれぞれ 10.2、8.6 Ωcm2と当初研究目標にしていた超低抵抗界面を形成できることに成功した。NCAにおいてはNCA(001)とNCA(104)における電池特性における明確な結晶方位依存性を見出した。これは両者の界面抵抗は極めて低い一方で薄膜内の粒界におけるLiイオン拡散の違いを反映していることが示唆された。 ②:Al2O3絶縁体ナノ層を固体電解質と電極界面に挿入し、その界面抵抗を評価した。その結果、Liイオン伝導体でない絶縁体を導入しても、清浄な界面においては低抵抗化に寄与しないことを明らかにした。さらに、Al2O3ナノ層は電気化学反応を繰り返すことで構造変化することを見出した。 ③:LiCoO2薄膜電極表面に様々ガス種を曝露することで界面抵抗変化を検証した。この結果、水のみが界面抵抗増大に寄与していることを明らかにした。さらに、この界面抵抗増大は電池素子をアニール処理することで改善できることを見出した。 ④:界面研究を正極/集電体界面に展開した。半導体物理に基づく界面エンジニアリングにより界面抵抗を制御できることを見出した。
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