研究課題/領域番号 |
18K14323
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
北野 翔 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 学術研究員 (50736840)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 電極触媒 / 酸素発生反応 / 層状複水酸化物 / ナノシート / 金属ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
電気化学的な水の酸化反応である酸素発生反応(OER)は、リチウム空気電池の充電や水電解による水素燃料の生成など、次世代のエネルギー運用技術に関わる重要な反応の一つであるが、反応を進行させるために大きな過電圧を必要とすることが問題となっている。OERを効率的に進行させる電極触媒材料の開発が長年に渡って行われてきたが、いまだ実用化に十分な性能は達成されていない。本研究は、新規な電極触媒として層状複水酸化物(LDH)に金属ナノ粒子を担持することにより、低い過電圧でOERを進行させる金属ナノ粒子担持LDHナノシート(NPs /LDH-NSs)電極触媒を開発することを目的とする。 本年度は、CoMn, NiCo, ZnCo-LDHを共沈法によって合成し、金ナノ粒子の担持を試みた。粉末X線回折測定から、合成したLDHは、全て同様のハイドロタルサイト構造を有することが分かった。金ナノ粒子を担持したNPs /LDH-NSsを、透過電子顕微鏡を用いて観察したところ、全てのLDH上において直径2-4nm程度の金ナノ粒子の担持に成功したことを確認した。合成した触媒をOERに適用したところ、金ナノ粒子を担持したCoMn, NiCo-LDHは、各々の未担持のLDHよりも低い過電圧で反応を進行させたのに対し、ZnCo-LDHは金ナノ粒子の有無に関わらず、ほぼ同様の過電圧を示した。今回合成したLDHは、全て同様の結晶構造を有していることから、金ナノ粒子による活性向上の有無は、LDHの構成金属の違いに由来すると考えられる。したがって、活性向上の発現にはLDHを構成する2価の金属イオンとしてCo2+、Ni2+が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、様々な遷移金属で構成されるLDHに金ナノ粒子を担持してNPs/LDH-NSsを合成することに成功した。また、これらの触媒を用いてOERを行ったところ、金ナノ粒子の担持によりCoMn, NiCo-LDHのOER活性を向上させることに成功し、LDHへの金ナノ粒子担持が高活性化に有効な手段であることを見出した。一方で、ZnCo-LDHは担持により活性が向上しないことが明らかとなったことから、NPs/LDH-NSsにおける触媒設計の一つの指針が得られた。今回合成したLDHは全て同様の結晶構造を有しており、担持された金ナノ粒子はほぼ同様の粒径を有していたことから、金ナノ粒子担持による高活性化の有無はLDHの構成金属イオンに由来すると考えられる。すなわち、Co2+、Ni2+が高活性化に必要であるという知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、LDHを構成する金属イオンの種類をさらに検討し、金ナノ粒子による高活性化の影響を明らかにする。また、金ナノ粒子の担持量が触媒特性に与える影響を検討する。合成したNPs/LDH-NSsにおける各金属の化学状態をX線光電子分光やX線吸収微細構造測定を用いて調べると共に、金ナノ粒子担持による高活性化のメカニズムを明らかにすることを試みる。さらに、担持する金属ナノ粒子の種類を変更し、LDHのOER活性に与える影響を検討すると共に、最も高い活性を達成するLDHと金属ナノ粒子の組み合わせを明らかにすることを目指す。
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