研究実績の概要 |
Zn触媒電極に関して、Znを陽極酸化することにより、多孔質Zn電極の調製に成功した。調製した多孔質Zn電極はZn板や鍍金によって調製したZn電極より、CO2電解還元の触媒活性が高く、目標である-0.9 V vs. RHEの条件において、約80%のファラデー効率を達成した(目標は60%以上)。調製した多孔質Zn電極をXRDによって分析したところ、調製前にZn板と同じ結晶構造であることが明らかとなり、特定の結晶面による効果ではないことが示唆された。多孔質Zn電極の触媒活性向上の要因を明らかにするため、Open-Loop Electric Potential Microscopy(OL-EPM)によって、CO2電解還元が優先的に生じている部分を特定することに成功した。OL-EPMの結果から、多孔質化したZnのエッジでCO2電解還元が優先的に進行していることが明らかとなり、CO2電解還元反応場の可視化に成功した。これらの成果はElectrochimica Acta, 290, 255-261 (2018)に上梓された。 Cu触媒電極に関しては、Cu鍍金に異種金属(中間生成物であるCOとの吸着エネルギーが強いCo)を混合し、Cu-Co触媒電極の調製に成功した。Cu-Co触媒電極はCu触媒電極と比べ、Coの混合比によって生成物である炭化水素類のCH4/C2H4選択性が変化することが明らかとなった。Cu-Co触媒電極はCuの結晶構造にCoが置換されることで、Cuと中間生成物であるCOおよびCOHの吸着が強くなり、CH4の生成物選択性が向上したと考えられる。また、CoがCu結晶構造に置換型固溶体として混合されることにより、C-C結合を阻害する役割も果たしていると考えられる。これらの研究成果はElectrocatalysis, 10(1), 29-34 (2019)に上梓された。
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