研究実績の概要 |
近年、アンモニア(NH3)はカーボンフリーな石油代替燃料として注目されているが、燃焼開始温度の低下とN2O/NOx生成抑制が求められる。これまで採択者は選択的NH3触媒燃焼に着目し、本年度では、更なるNH3低温燃焼と低N2O/NO選択性の両立を目的として二元系CuOx-Pt/Al2O3を調製し、そのNH3触媒燃焼特性を評価した。 ムライト結晶構造体の一構成材料であるAl2O3担体にCu(NO3)2および[Pt(NH3)2(NO3)2]を、共含浸(CuOx-Pt/Al2O3)あるいは逐次含浸後、空気中600℃, 3hで焼成し、調製後の担持触媒を得た。得られた触媒は耐熱性を評価するため空気中900℃で100h熱処理した(900℃)。キャラクタリゼーションにはX線回折(XRD), 蛍光X線(XRF), 光電子分光法(XPS), X線吸収微細構造(XAFS), 電子顕微鏡(TEM)、ガス吸着等を用いた。NH3触媒燃焼特性は流通反応装置を用いて昇温法で評価した。 XRD測定の結果、いずれの調製法で得た担持触媒でも、金属PtとAl2O3に起因する回折線が認められたが、CuOxに起因する回折線は認められなかった。一方、熱処理後の触媒ではCuAl2O4が出現した。金属Ptの回折線にScherrer式を適用して計算すると、CuOx/Pt/Al2O3のPt粒子径は熱処理前後でそれぞれ15 nmと33 nmであった。熱処理前後の二元系触媒の中でも、CuOx/Pt/Al2O3が比較的高いNH3燃焼活性を示した。生成物選択性に関して、CuOx/Pt/Al2O3と一元系触媒を比較すると、NO選択性に差はあまり認められないが、N2O選択性はPt > CuOx/Pt > CuOxの序列であり、優位性が認められた。以上の2018年度の研究成果は、査読論文2報、国際会議発表3件、特許1件として報告した。
|