近年、アンモニア(NH3)は二酸化炭素を排出しない石油代替燃料として注目されているが、燃焼利用の際に『燃焼開始温度の低下』と『燃焼生成物が窒素と水(水蒸気)のみ』であることが必須である。 本年度では、NH3の燃焼利用のために低温燃焼を可能にするとともに窒素酸化物の副生を抑える『ムライト型結晶構造体を基軸とする新規燃焼触媒』の開発を検討した。ムライト担体を用いた担持CuOx触媒を湿式含浸法によって調製した。ムライト型構造体は熱力学的安定相で、融点は約2000 ℃と十分な熱安定性を有している。調製した触媒はX線回折(XRD)・蛍光X線(XRF)測定で結晶構造・組成比を確認後、昇温脱離法(NH3/NO-TPD)によってその酸・塩基性質(量)を調べた。透過電子顕微鏡(TEM/EDX)を用いてCuOx等の触媒の析出・分散状態を観察した。燃焼活性・生成物選択性に影響を及ぼす触媒上のNH3吸着種や反応中間体、ならびにNH3/O2分圧依存性・部分次数や反応速度等を調べた。NH3燃焼反応中のN2O分解反応にも着目し、関連する反応への応用も検討した。900 ℃で100 h熱処理後も目標性能を維持する耐熱性担持CuOx触媒の創出を推進した。
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