研究課題/領域番号 |
18K14331
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 栄紘 東京工業大学, 生命理工学院, 特任助教 (70707918)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 過酸化水素 / イメージング / リン光色素 |
研究実績の概要 |
本申請研究では、リン光色素を利用した細胞外および細胞内の過酸化水素プローブを開発し、最終的にはこれらの過酸化水素プローブの細胞実験への利用を目指す。 過酸化水素は、生体分子に酸化障害を与えるだけでなく、生命活動に不可欠なシグナル伝達物質として近年注目されている。そこで、顕微鏡観察に用いる様々な過酸化水素プローブが開発されているが、細胞内外の過酸化水素濃度変化をライブイメージングできるものはこれまでにない。 平成30年度は、細胞外過酸化水素プローブとして、リン光色素を内包した細胞サイズの酸素センシングビーズに過酸化水素分解酵素カタラーゼを固定化したものを調製した。リン光色素含有ビーズは、色素に白金ポルフィリンPtOEP、ビーズ本体には片側の末端にカルボン酸を有するポリスチレンを用いて、均一なビーズを形成した。このビーズ表面のカルボン酸にpoly-L-リシンを化学修飾させた。さらに、ウシ肝臓由来のカタラーゼをpoly-L-リシンとの静電的相互作用で固定化させた。新規購入した蛍光顕微鏡を用いて、調製したカタラーゼ固定化リン光色素含有ビーズへ過酸化水素を添加による色素のリン光強度変化を観察したところ、添加した過酸化水素濃度に応じてリン光強度が経時的に変化した。これらの実験から、培地中の過酸化水素を定量できるシステムを構築できたと言える。令和元年度は細胞内過酸化水素プロープを開発し、細胞内外過酸化水素イメージングへの導入を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は目的の一つである細胞外過酸化水素プローブの開発に取り組み、計画していたカタラーゼ固定化リン光色素含有ビーズの調製に成功した。この過酸化水素プローブを用いて、蛍光顕微鏡観察により溶液中の過酸化水素濃度への応答が確認されたため、ほぼ予定通りの研究計画が進行していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度はもう一つの目的の細胞内過酸化水素プローブの開発に取り組む。白金ポルフィリン修飾カタラーゼを調製し、これを細胞内へと取込ませる。過酸化水素濃度を変化させる条件において、細胞内のリン光色素の応答を観察し、開発した細胞内過酸化水素プローブの評価を行う予定である。
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