Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、生細胞表層に存在する細胞膜受容体である。GPCRは生物個体内において、神経活動・免疫等の重要な生理機能を担うため、その機能解明は生物学・生理学において重要であるだけでなく、創薬への応用が期待される。しかしながら、生体内では多種多様な受容体及び細胞種が混在していることから、ある特定の細胞における狙ったGPCRの機能を調べることは未だ困難である。そこで本研究課題では、金属錯体化学と遺伝子工学を組み合わせたCoordination Chemogeneticsを活性制御が困難なClass A GPCRに適用することを目的とした。標的GPCRにHis tagを導入した変異型GPCRを作成し、標的GPCRのアゴニスト及びNiNTA錯体を連結したMetal agonist conjugate (MAC)を作用させることで、GPCR-アゴニスト・HIs tag-NiNTAの二点相互作用により標的となるclass A GPCRを活性化させることに成功した。この方法をCoordination tetheringと命名し、多種のclass A GPCRに適用でき、かつ初代継代細胞に適用可能なことを示した。 また2種の異なる自己集合性ファイバーからなる超分子ダブルネットワーク(DN)ヒドロゲルの機能化に成功した。超分子DNヒドロゲルは、複数の刺激応答性を合理的に設計できるプラットフォームとして優れている。しかし、その構築原理であるself-sorting現象を示すモノマーが限られているため、導入可能な刺激応答性に限界があった。本研究では超分子DNヒドロゲル構築後に新たな刺激応答性を導入するpost-assembly fabrication法を開発し、実際これまで導入困難であった刺激応答性を組み込みそれを利用したタンパク質のコントロールリリースに成功した。
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