研究課題/領域番号 |
18K14335
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
仲野 瞬 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (40650809)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人工酵素 / リセプター / RNA-ペプチド複合体 / ライブラリー |
研究実績の概要 |
リセプターに触媒分子を修飾して、基質と触媒基を近接させることにより標的反応を加速する「リセプター触媒」がこれまでに作製されてきたが、天然酵素の触媒活性には遠く及ばない。これらが真の「人工酵素」へと発展するためには、触媒の反応速度、反応回転数、反応選択性を大きく改善するための、天然酵素の触媒反応機構に基づいた作製法が必要である。 本研究では、我々がこれまでに開発したRNA-ペプチド複合体(RNP)リセプターに触媒分子を修飾したライブラリーの中から「触媒活性を有するリセプター」を選択する「RNPリセプター触媒作製法」を拡張して、高い基質選択性と高い触媒活性をもつ「人工酵素」を効率よく獲得する方法を確立する。mRNAディスプレイ法を応用して多様な構造をもつ触媒分子修飾RNPリセプターのペプチドライブラリーを作製する方法と、セレクションにおいて生成物の解離を促進し触媒反応の回転数を高めたRNPリセプターを選択する分子選択条件の検討をおこなうことで、生成物に対する親和性が低く触媒活性が高いRNPを作製することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はRNPリセプターの基質選択性をコントロールするための分子選択条件の検討をおこない、その成果をもとに「高選択的にATPおよびADPを識別する蛍光RNPセンサーの作製と同時検出」について研究を展開し、論文発表を行った(Chem. Comm. 2019, 55, 1611-1614.)。また、RNP触媒設計に使用するCoA結合性アプタマーの分子設計を、これまでに我々が開発したモジュラー型RNPリセプター設計法を利用して検討した。今後、基質親和性や選択性について評価する予定である。一方、触媒分子修飾ペプチドサブユニットの合成条件の確立および機能化に関してはまだ十分に進捗しておらず、今後セレクションに最適なライブラリーデザインの検討と、ペプチドサブユニットの合成および精製条件を併せて検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
mRNAディスプレイによりランダム配列を有するペプチドサブユニットライブラリーを作製し、N末端に触媒分子を修飾するための反応条件検討を行う。CoAリセプターとペプチドサブユニットライブラリーを組み合わせてRNPライブラリーを構築し、触媒活性と生成物に対する低い親和性を指標とした分子選択をおこない、触媒能を持つRNPリセプターの獲得を目指す。
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