研究課題/領域番号 |
18K14337
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
朝比奈 裕子 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (90808461)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ナノポア / 半合成 / BAX / 膜タンパク質 |
研究実績の概要 |
本研究では光照射によつ可逆的なナノポア形成を可能とする人工BAXタンパク質を構築するこを目的としている。人工BAXタンパク質の半合成に必要なフラグメントに関してはペプチド合成と大腸菌の大量発現系により調製する。ペプチド合成に関しては、光照射により構造変化を伴う構造、アゾベンゼンを導入して、プラグメンドを合成した。大腸菌の大量発現系に関しては既に報告されている論文をもとにベクター設計を行い、発現と精製を行った。しかしながら、フラグメントの配列だけでなく、全長の配列の目的タンパク質でも大腸菌による発現が確認できなかった。2019年に入り、他の研究者らによって、参考論文の設計ベクターでは大腸菌による大量発現は確認されず、ベクターの改変が必要であるという内容の論文が発表された(Digeldien et al., Protein Expression and Purification, 2019)。この論文を参考にベクターを再構築し、発現確認を行っている。 また、人工タンパク質を得られた後の評価系が必要である。評価系として、まずは蛍光実験を用いることにしており、人工タンパク質が構築する膜上のナノポアがリポソーム上に存在するか否かをリポソーム内のみに存在する蛍光物質の出入りによって観察する。extruderと超遠心機を用いて、内側のみに蛍光物質が入ったリポソームを作製することに成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト由来のBAXの全長タンパク質と半合成のためのフラグメントタンパク質に関して大腸菌を用いて大量発現し、精製を行う予定であったが、共に大腸菌にとって毒性があり、発現が確認できなかった。既存の報告では大腸菌でも大量発現可能とあったが、2019年に既存のベクター設計での大量発現は確認されず、ベクターの改変が必要であると結論付けられた論文が発表された。それに伴い、大量発現するためにベクターの改変が必要となり、進捗がやや遅れている状態である。 また、2020年2月末より新型コロナウイルスの感染拡大防止対策のため、研究活動に制限があることも理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、大腸菌の発現系を再構築するとともに、大腸菌だけでなく、哺乳細胞を用いた発現系も立ち上げ、目的タンパク質を得る。その後、目的タンパク質の評価系の構築と光感受性タンパク質の半合成を行っていく。また、発現後、すぐに目的タンパク質の評価を行えるように、既に精製されている全長の目的タンパク質を購入し、評価系を立ち上げる。評価系に関しては蛍光実験を予定しており、蛍光実験では用いる蛍光物質も数種類検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
大腸菌による大量発現系の構築の再考が必要となり、今年度で行う予定であった半合成の条件検討や評価系の構築に遅れが生じており、その際必要となる高額な蛍光物質は使用期限が短いため、実験を行う直前に購入した方がよいため、次年度使用額が生じている。次年度にはその計画していた実験を行うため、予定どおり購入する予定である。
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