研究課題
本研究では光照射による可逆的なナノポア形成を可能とする人工BAXタンパク質を構築する。BAXは不活性の状態では細胞質内に遊離しており、活性化されることによって、タンパク質が通過することができる比較的大きな孔を脂質二重膜に形成する。本来、この不活性状態から活性状態への構造変化は、他のタンパク質由来でBH3ドメインの結合により、誘導されるが、本研究では半合成法を用いてBAXの特定部位に光受容性アミノ酸、アゾベンゼンアミノ酸を導入することによって、光照射により不活性構造から活性構造へ、さらには活性構造から不活性構造へ構造変化が可能な可逆的なナノポア形成能をもつBAXの調製を試みた。人工BAXタンパク質を構築するにあたり、そのコントロールとして、野生型BAXが必要となることから既知の方法にて大腸菌を用いた大量発現を行ったが、ほどんど単離精製することができず、野生型BAXのベクター設計や培養条件などの見直しが必要となったため、当初の予定より研究の進捗状況が遅れ、現在も引き続き試料調製方法の確立を模索している。一方、半合成BAXを調製するために必要なアゾベンゼンアミノ酸を含むセグメントに関しては化学合成は完了しており、また、光照射によるアゾベンゼンのCis/Transの構造変化をUV/Visにて確認済みであり、発現系で得るタンパク質セグメントが得られたときに直ちにライゲーション反応を行える状況である。また、半合成BAXのナノポア形成を蛍光実験により確認するため、蛍光物質を含むリポソームを調製する必要があり、その調製方法に関してはextruderと超遠心機を用いることで確立した。
すべて 2022
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Scientific Reports
巻: 12 ページ: -
10.1038/s41598-022-08876-9