研究課題/領域番号 |
18K14338
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
勝田 陽介 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (50632460)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | RNA G-quadruplex / translation |
研究実績の概要 |
RNAの四重鎖構造(RNA G-quadruplex)は情報解析技術発展により、がん関連遺伝子に偏在していると示唆されているが、細胞内でどのmRNAのどの位置で構造を構築しているかは明らかになっていない。RNA G-quadruplexの機能に関しては試験管レベルの実験において5’-UTRに存在するRNA G-quadruplexがタンパク質翻訳反応を抑制することが解明されたが細胞内におけるこの構造の役割に関してはやはり不明である。今後、細胞内RNA G-quadruplexの存在位置を特定していくことは、この構造の機能を解明する足掛かりになるであろう。 申請者らのグループではこれまでに、RNA G-quadruplexに対して高い選択性を有する化合物RGB-1を化合物ライブラリーのスクリーニングにより見出している。RGB-1は細胞内においてもRNA G-quadruplexへの高い選択性を維持することが可能であり、この特徴を維持したまま内在性タンパク質翻訳反応を抑制することにも成功している。以上を踏まえると、細胞内においてmRNA中にRNA G-quadruplexが存在すれば、その遺伝子発現量はRGB-1処理により変調するはずだ。実際にがん遺伝子NRASに着目して検討を行ったところ、今まで報告されていなかった位置にもRNA G-quadruplexが存在していることが明らかにしている(JACS, 138, 2016, 9037-9040)。 しかし、一つずつ標的タンパク質の量を比較する検討は時間・手間を考えると効率的ではない。本プロジェクトにおいては一度に百種類程度のタンパク質発現量を評価できる抗体アレイを用いる手法を開発した。また配列情報に基づく構造予想では見つけ出すことが難しいと思われるRNA G-quadruplexを見出すことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトにおいては2018年度および2019年度において① 抗体アレイを利用し、RGqを構築するmRNAを絞り込む。② 絞り込んだmRNAに対してストップアッセイを行い、“どの位置”でRGqが構築されているのかを特定する。③ RGB-1を用いて特定したRGqの安定性に変化を与え、RGqの機能を解明する。という三つの段階を設定した。すでに①および②の段階まで終了し、論文を提出するに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度においては③ RGB-1を用いて特定したRGqの安定性に変化を与え、RGqの機能を解明する。という段階を終了させる予定である。本検討においても既に基本技術は完成し、論文を作製する段階にある。同定したRGqの機能解明に努めたいと思っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用試薬のキャンペーンにより想定外の値引きがあったため。
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