研究課題
RNA四重鎖構造(RNA G-quadruplex:RGq)構造が生体内で重要な役割を担っていることが示唆されているものの、RGqをもつ遺伝子またその存在位置を明らかにする手法が開発されていないためRGqの生体内機能はほとんど明らかになっていない。申請者は以前RGqを選択的に安定化する化合物(RGB-1)を見出している。この化合物はRGqに結合・安定化することによりタンパク質翻訳反応を抑制することが明らかになっている。そこで本提案においてはRGB-1の有無によるタンパク質翻訳量を抗体アレイを用いて網羅的に探索することで、タンパク質翻訳反応に関与する機能的RGqを探索する手法を提案した。抗体アレイおよびRT-qPCR解析を評価したところ5つのmRNA中でRGqが形成されていることが示唆されたため、すべてのmRNAを対象に逆転写酵素の伸長反応を評価するストップアッセイを行った。その結果、Nectin4およびCapG遺伝子においてタンパク質翻訳反応を抑制するRGqを有していることが明らかになった。またNectin-4に関しては最近接のグアニン繰り返し配列を利用するのではなく、近接した三ヶ所と離れた位置に存在するグアニン繰り返し配列を利用してRGq構造を形成していることがわかった。またCapG遺伝子に関しては塩濃度変化により利用するグアニン繰り返し配列が変化していることが明らかになった。CapGが作る二種類のRGqのタンパク質翻訳量への影響をin vitro translation法により解析したところ、タンパク質翻訳を強く抑制する構造と比較的穏やかに抑制する構造になっていることがわかった。これらの事実はRGqがタンパク質翻訳反応量を微妙に制御する因子になっている可能性を示唆しており論文投稿に至った。
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