研究課題/領域番号 |
18K14348
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 千葉大学 (2022-2023) 国立研究開発法人理化学研究所 (2018-2019) |
研究代表者 |
杉山 龍介 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (10779664)
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研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2024-03-31
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キーワード | グルコシノレート / メタボロミクス / 二次代謝 / 同位体ラベル / 統合オミクス解析 / ストレス応答 |
研究成果の概要 |
グルコシノレート(GLS)はからし油配糖体とも呼ばれ,食害などによって植物組織が破壊されると,糖加水分解酵素と混ざり合い,防虫効果や発がん抑制作用を持つイソチオシアネートなどへと変換される.本研究では組織破壊に依存しないGLS分解現象に着目し,その生理機能をシロイヌナズナで調べた.その結果,硫黄欠乏条件において①GLSが単一の硫黄源として資化可能なこと,②分子中の硫黄原子がシステインなどの含硫一次代謝物へと転流していること,③糖加水分解酵素BGLU28とBGLU30が本現象の責任酵素であることを見出した.本成果により,GLSは硫黄の貯蔵源でもあるという長年議論されていた仮説が証明された.
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自由記述の分野 |
天然物化学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
二次代謝産物が一次代謝へとリサイクルされる可能性は古くは1980年代に指摘があるが,実験的に証明されはじめたのはごく最近であり,本発見は,体内に蓄えた二次代謝産物を栄養源として分解・再利用するシステムが植物に備わっている生化学的根拠を明確に示した初の事例である。一方通行と考えられている一次代謝と二次代謝の関係に一石を投じたことで大きなインパクトを与え、PNAS誌に掲載された。化合物を「作る」生合成経路だけでなく、化合物を「減らす」代謝フローにも目を向けることで、植物体内での複雑な物質生産制御機構やその意義のさらなる理解につながると期待される。
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